変わったのは「職」ではなく、「入口」と「中身」
エンジニアの世界で、いま静かな地殻変動が起きています。
スタンフォード大学の研究チームが米国の給与データを分析したところ、生成AIの影響を受けやすい職種で若年層の雇用が落ち込んでおり、22歳から25歳の若手ソフトウェア開発者はピーク時から約20%減少していたといいます。McKinseyの調査でも、約半数の企業が「生成AIによってエントリーレベル職の必要性が減った」と回答しています。AIがまず置き換えたのは、ベテランの担う仕事よりも、新人が経験を積むための定型的な仕事だった。この点は、もう推測ではなく現実と言ってよさそうです。

ただし、ここで雑な結論に飛びつかないことが大切です。「プログラマーという職業が消えていく」という話ではありません。米労働統計局はむしろ、ソフトウェア開発者は今後10年で2割近く増えると予測しています。近年のテック業界の大規模なレイオフも、AIだけが原因ではなく、金利の上昇やコロナ期の過剰採用の反動といったマクロ要因が混ざり合ったものです。そして日本に目を向ければ、状況はむしろ逆で、経済産業省の試算では2030年に最大79万人のIT人材が不足するとされています。

つまり、起きているのは職の消滅というより、仕事の「入口」と「中身」の組み替えです。そしてこの組み替えこそが、人材戦略に静かで深刻な問いを突きつけています。
崩れたのは、エンジニアが育つ「階段」
これまでのエンジニアのキャリアには、暗黙の階段がありました。若いうちは仕様書どおりにコードを書き、レビューで鍛えられ、技術の足腰ができたころに後輩を持ち、やがてチームを率いる。技術を磨く時期と、人を扱う時期が、ゆるやかに分かれていたのです。
AIが定型コーディングを担うようになると、この階段の一段目が細くなります。若手は最初から、AIの出力を評価し、顧客の曖昧な要望を要件に翻訳し、複数の関係者と合意を取りながらAIと人の作業を束ねる、そういう仕事に近い場所に立たされます。Gartnerが「エンジニアはコードの書き手から、戦略の指揮者へ」と表現したのは、まさにこの変化です。
指揮者の仕事の中身を考えてみてください。発注側の本当の困りごとを聞き出す。技術的な正しさと納期の板挟みを調整する。AIの出した「もっともらしいが微妙に違う」成果物に対して、違和感を言語化してチームに共有する。どれも、技術知識を土台にしながら、最後は人と人の間で決着する仕事です。
世界経済フォーラムのFuture of Jobs調査でも、今後重要性が増すスキルの上位に「リーダーシップと社会的影響力」が挙げられています。一方で、PwCの調査ではAIスキルを求める仕事の賃金プレミアムが前年の25%から56%へ高まったとされており、「技術かEQか」の二者択一ではありません。実態は両立です。ただ、その両立が求められる時期が、キャリアの後半から前半へ、はっきりと前倒しになった。ここが本質的な変化です。

「技術職だから」という先送りが、いちばん危ない
経営や人事の立場でこの変化を眺めると、見直すべき前提が浮かび上がります。
これまで多くの企業は、エンジニアの対人面の育成を後回しにしてきました。「技術職だから」「まずは手を動かせるようになってから」と、マネジメントや対人スキルの研修は、管理職に昇進するタイミングまで先送りにされてきたのが実情です。階段がゆるやかだった時代は、それでも間に合いました。これからは間に合いません。
幸い、対人力やEQは、生まれつきの性格ではなく行動の集まりであり、測ることも育てることもできます。実際、エンジニア組織のEQを可視化して育成に組み込みたいという相談は、私たちJapanEQの窓口でも、ここ数年で明らかに増えました。技術力にスキルマップがあるように、対人面にも現在地と伸びしろを示す地図を持つ。特別なことではなく、技術育成で当たり前にやってきたことを、もう一つの能力軸にも適用するだけの話です。
AIに仕事を奪われるエンジニア、という見出しは刺激的ですが、実務家が向き合うべき問いはもっと地味です。一段目が細くなった階段を、誰がどう架け替えるのか。それは個々のエンジニアの自助努力で片づく話ではありません。採用と育成を設計する側、つまり企業の仕事です。エンジニアの未来を悲観する前に、自社の育成の階段を点検する。2026年の人材戦略は、そこから始まるのだと思います。
EQコラム
EQとは何か
「JapanEQ」とは何か
EQは後天的に育成可能なスキルですが、目に見えない感情の改善は容易ではありません。そこで、日本人の思考・行動特性に最適化したEQツールが有効です。私たちは、日本人特有の思考様式・文化背景・組織風土に対応した独自のEQシステムを開発しています。
EQシステムについてはここから
「Japan EQシステム」
日本人の考え方、働き方に合わせて開発した当社オリジナルのEQ開発システムです。多言語にも対応しております。凹凸と変化から現在の行動の状態を把握し、個人・組織の開発テーマが決まります。
EQ組織OS(人的資本とEQの関係 )
EQ組織力強化
組織の停滞はスキルの不足ではなく「OS」の古さが原因かもしれません。組織の共通言語として定着させる「EQ組織OS」を提供します。
EQ導入 まずはここから
「EQ基礎ガイダンス」
EQを正しく理解し、内省と他者との対話を通して、「行動」と「感情」のマネジメントスキルを身に着ける個々人の行動開発プログラム。
EQを活用したコーチングのプロ養成
Japan EQコーチ資格認定
高いレベルのEQを活用したコーチングスキルを身に着けるプログラム。仕上げとして、EQコーチ認定試験と資格授与を行います。
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課題意識を持つ管理職が主体となり、現場から始められるマネジメント実践パッケージです。EQを組織として育成・定着させます。
チーム全体で取り組むEQ運用プログラム
EQチームパック
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採用時からのアプローチが早期戦力化の鍵
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やる気と成果に満ちた職場づくり
「製造現場向けEQ」
いま製造現場に求められているのは、最新の設備や技術だけではありません。不可欠なのは、人の「感情知能=EQ」を理解し、育成することです。
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