熱意が、「パワハラ」と受け取られた日
私たちジャパンラーニングは、独自に開発したアセスメント「JapanEQ」を軸に、EQ(こころの知能指数)を高めるヒューマンスキル開発に取り組んでいます。目指しているのは、一人ひとりが自分自身を深く理解し、人とのより良い関係を築いていくこと。研修やコーチングの現場では、これまで多くの受講者の変化に立ち会ってきました。
今回ご紹介するのは、自己認識の深まりが、リーダーとしてのあり方を大きく変えていったAさんの事例です。
Aさんには以前、チームメンバーからパワハラを指摘された経験があります。
当時のAさんを動かしていたのは、チームを良くしたい、もう一段高いレベルの技術開発に挑みたいという強い想いでした。メンバーの成長を願い、成果を出してほしいという情熱を持って、日々向き合っていたのです。
けれど、その熱意と信念は、相手には届いていませんでした。届かなかったどころか、まったく逆のものとして受け取られていた。Aさん自身は、指摘を受けるまで、そのことに気づくことができなかったのです。
「自分は間違ったことを言っただろうか」
この出来事をきっかけに、Aさんは心身の不調を経験されました。時間をかけて回復し、業務にも復帰されましたが、心の奥には、答えの出ない問いが残っていたようです。
「自分は間違ったことを言っただろうか」
「正しいことを伝えただけなのに、なぜ理解してもらえなかったのだろう」
その答えが見つからないまま、職場では「また同じことになるかもしれない」と、本音を口にすることをためらうようになっていました。言うべきことが言えない。かつてのAさんにとって、それはもう一つの苦しさだったはずです。
そんなAさんが、私たちの研修に参加され、JapanEQを初めて受検されました。
数字が映し出した、熱意の「向き」
結果を見ると、「対人認識力」と「人間関係構築力」が、他の項目と比べて低い値を示していました。対人認識力は、相手に関心を向け、相手を知ろうとし、話を深く聴く力。人間関係構築力は、話しかけやすさや共感を通じて、信頼関係を築き、続けていく力です。
ここで一つ、大切なことをお伝えしておきます。JapanEQは、性格や能力を判定する検査ではありません。自分自身の行動や思考を、自分がどのように認識しているかを可視化するアセスメントです。スコアが示すのは「いま、どれだけその行動をとっているか」であり、それは、これから変えていけるものです。

数値として示された結果を前に、Aさんは改めて自分自身を見つめ直しました。
「自分はメンバーの気持ちや考えを、十分に理解しようとしていただろうか」
Aさんの熱意は、たしかに本物でした。ただ、その熱意は「伝える」方向にばかり向いていて、「受け取る」方向にはほとんど向いていなかったのかもしれない。スコアと対峙する中で、Aさんの自己対話が始まったのです。
相手を変える前に、自分を見る
研修開始から1か月後の個別面談で、Aさんは次のように話してくださいました。
「私はチームを主体的な組織にしたいと思っています。でも、それは私が理想としている姿です。メンバー一人ひとりには、それぞれ違う考えや価値観があるはずです。まずは、みんなが何を考えているのか、しっかり聴くところから始めたいと思います」
理想を語ることをやめたわけではありません。理想は掲げたまま、その前に一つ、順番を置いた。まず、聴く。それがAさんの選んだ変化でした。
JapanEQによって自分自身を客観的に見つめ、改善のポイントに気づいたことで、Aさんは相手を変えようとする前に、自分自身のあり方に目を向けられるようになったのです。

「パワハラと言われた当時は、なぜそう受け取られたのか理解できませんでした。でも今なら、その理由が分かる気がします」
かつて答えの出なかった問いに、Aさんはいま、自分の言葉で答えを見つけつつあります。
気づきは、入り口にすぎない
EQの向上とは、まず自分自身を深く理解すること。そして、相手の立場や感情に目を向けること。
正しいことを言っているのに伝わらない。この経験は、多くのリーダーが一度は通る道です。そのとき問われているのは、言葉の正しさではなく、その言葉が相手にどう届いているか。自分の側からだけ見ていては、ここに気づくことはできません。
自分を知り、相手に目を向ける。その積み重ねこそが、信頼関係を築き、リーダーシップを高め、チームの力を引き出していく原動力になります。
JapanEQは、そのための「気づきの入り口」です。Aさんのように、自分では見えていなかった強みや課題を知ることで、人としても、リーダーとしても、新たな成長の一歩を踏み出すことができます。
これからAさんのチームが、互いを理解し、安心して意見を交わせる組織へとどのように変わっていくのか。私たちも大きな期待を寄せています。
ジャパンラーニング 講師 山田 育子
EQコラム
EQとは何か
「JapanEQ」とは何か
EQは後天的に育成可能なスキルですが、目に見えない感情の改善は容易ではありません。そこで、日本人の思考・行動特性に最適化したEQツールが有効です。私たちは、日本人特有の思考様式・文化背景・組織風土に対応した独自のEQシステムを開発しています。
EQシステムについてはここから
「Japan EQシステム」
日本人の考え方、働き方に合わせて開発した当社オリジナルのEQ開発システムです。多言語にも対応しております。凹凸と変化から現在の行動の状態を把握し、個人・組織の開発テーマが決まります。
EQ組織OS(人的資本とEQの関係 )
EQ組織力強化
組織の停滞はスキルの不足ではなく「OS」の古さが原因かもしれません。組織の共通言語として定着させる「EQ組織OS」を提供します。
EQ導入 まずはここから
「EQ基礎ガイダンス」
EQを正しく理解し、内省と他者との対話を通して、「行動」と「感情」のマネジメントスキルを身に着ける個々人の行動開発プログラム。
EQを活用したコーチングのプロ養成
Japan EQコーチ資格認定
高いレベルのEQを活用したコーチングスキルを身に着けるプログラム。仕上げとして、EQコーチ認定試験と資格授与を行います。
管理職のためのEQ運用プログラム
EQマネージャーズパック
課題意識を持つ管理職が主体となり、現場から始められるマネジメント実践パッケージです。EQを組織として育成・定着させます。
チーム全体で取り組むEQ運用プログラム
EQチームパック
EQを「チームの共通言語」にして、アップデートする。話し合える。決められる。前に進める。現場起点のEQ運用パッケージです。
採用時からのアプローチが早期戦力化の鍵
ビジネスEQセルフディスカバリー
「辞めない・粘る・自ら動く人材」を、EQで育てる採用・新人育成プログラム。
やる気と成果に満ちた職場づくり
「製造現場向けEQ」
いま製造現場に求められているのは、最新の設備や技術だけではありません。不可欠なのは、人の「感情知能=EQ」を理解し、育成することです。
秘書マインドを確立
「秘書EQ」
EQとして捉えることにより、自己のマインドと徹底的に向き合い、強み弱みを見極め、ヒューマンスキルアップを目指します。
ホスピタリティを見える化する
「ホスピタリティEQ」
顧客と関わるすべての企業に効果をもたらします。ホスピタリティを見える化することで、従業員の成長や顧客満足の向上につながります。
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